世の中には筋肥大に効果があるとした様々なサプリメントが販売されています。
しかし、どの栄養素を押さえておけばいいかお悩みではないでしょうか?
今回は、様々な栄養素がある中で、最も重要とされている「ロイシン」(Leucine)について調べてみました。
・ロイシンとはアミノ酸の1種
・ロイシンの働き
・一日当たりのロイシンの必要摂取量
・ロイシンが多く含まれる食品
もくじ
筋肥大に必要な要素
筋肥大を効率的に行なうには、
筋肥大=筋トレ × 食事(栄養) × 睡眠
トレーニング以外にも栄養摂取や睡眠も筋肥大のためには欠かせません。
栄養摂取
筋トレ実践者にとって大切な栄養素はやはりたんぱく質。
身体組織の形成はたんぱく質によって行われますが、骨格筋もその一つ。
たんぱく質は欠かせません。
たんぱく質は20種類のアミノ酸の結合配列によって構成されています。
今日取り上げるロイシンもこのアミノ酸の一つ。
その中でも重要なポジションに位置しています。
アミノ酸とは?
ここで少し化学の話にお付き合いください。
アミノ酸とはアミノ基とカルボキシ基の官能基を持つ有機化合物(炭素原子を骨格とする化合物)。
自然界に500種ほど存在すると言われています。
このうち我々の身体組織を形成するタンパク質の元になるのは、たった20種類のアミノ酸。
・アミノ基(-NH2)はアンモニアNH3から水素原子が一つ失われた状態。
アミノ酸が分解されるとアミノ基が分離しアンモニアが発生します。
・カルボキシ基(-COOH)は水に溶けやすく、水素イオン(H)を解離して酸性を示します。
このことから、「アミノ基 + 酸 =アミノ酸」と呼ばれるんですね。
カルボキシ基が結合している炭素原子(C)にアミノ基も結合しているアミノ酸のことを”α-アミノ酸”といいます。
カルボキシ基から見て炭素原子の位置が近い順にα,β,γ…と番号が付けられます。
身体の中にあるほとんどのアミノ酸はα-アミノ酸だそうです。
・側鎖Rはここに結合する官能基の違いによってアミノ酸の種類が決まります。
ロイシンはアミノ酸の一つ
ロイシンはアミノ酸の一つですが、
さらにその中でも人間の体内で合成できない必須アミノ酸の一つ。
必須アミノ酸(Essential Amino Acid)は9種類ありEAAと表現されます。
EAAは体内で合成できないため、食品から摂取するしかありません。
さらにさらに、この中でも「分岐鎖アミノ酸」(Branched Chain Amino Acid = BCAA)と呼ばれる3種類のアミノ酸があり、
ロイシンはこの中の一つなんです。
つまり、ロイシンの位置づけはこのようになります。
ちなみに体内で生成可能なアミノ酸のことを「非必須アミノ酸」と呼びます。
こちらは11種類です。
ロイシンの構造式
ロイシンの構造式です。
イソブチル基を持っています。
ロイシンの働き
・筋肉の合成を促進する
筋肉は日々分解と合成をくり返していますが、この合成の”スイッチ”つまりきっかけとしてロイシンが働きます。
ロイシン摂取後に血中内のロイシン濃度が高まると、
細胞内にあるシグナル伝達物質mTOR(mammalian target of rapamycin)が活性化されます。
このmTORの働きによって筋肉の合成が促されるというわけです、
・運動パフォーマンスの維持
激しい運動を長時間行なうと、エネルギーを確保するために筋肉がアミノ酸に分解されてしまいます。
実質の筋肉量が減ることになるので、運動パフォーマンスは下がってしまいます。
そこでロイシンを摂取し筋肉の合成を促進することで筋肉の分解を防ぎ、運動パフォーマンスを維持することができるんです。
・その他にも
その他にも肝機能の改善や耐糖能異常の改善などがあるようですが、
詳細を調査することが難しいため、本記事では割愛します。
一日当たりのロイシンの必要摂取量
ロイシンは植物性たんぱく質よりも動物性たんぱく質に多く含まれます。
動物性たんぱく質といえば肉・魚・乳製品などですね。
厚生労働省が2007年WHO/FAO/UNU報告を元にまとめた資料を参考に一日あたりのロイシン必要量をまとめました。
年齢と体重が関係します。
下記の該当数値に皆さんの体重をかけて下さい。その数値が皆さんにとっての必要量/日となります。
年齢 | 11-14歳 | 15-18歳 | 19歳以上 |
ロイシン必要量/日 | 44mg*(体重kg) | 42mg*(体重kg) | 39mg*(体重kg) |
もし皆さんが19歳以上で体重60kgの場合、39×60=2,340mgが一日に必要な摂取量となります。
厚生労働省のデータでは乳児から18歳まではある程度細かく年齢区分けがされていますが、19歳以上は一括りになっています。
実際にはもっと細かな年齢分けが必要でしょうが、現在はこの指標以外はありません。
あくまで参考として捉えてください。
一般的な食生活であれば不足することはないと言われます。
ボディメイクを目的とした筋トレ実践者であれば、トレーニング時の筋肉分解も考慮したいものです。
そうすると、少し多めの摂取量を心掛けた方が良いかと思います。
ロイシンが多く含まれる食品
皆さんの食卓に上がりそうな食品をメインに文部科学省の”食品成分データベース”で調べてみました。
※かつお節やのり、きな粉など、あまり量を摂れない食品は除きました。
(単位mg/可食部100gあたり)
食品 | ロイシン含有量 |
かたくちいわし/煮干し | 4,900 |
するめ | 4,300 |
むろあじ/焼き | 2,300 |
ごまさば/焼き | 2,300 |
べにざけ/焼き | 2,200 |
しろさけ/焼き | 2,100 |
くろまぐろ/天然/赤身/生 | 2,000 |
ししゃも/生干し/焼き | 1,900 |
かつお/春獲り/生 | 1,800 |
かつお/秋獲り/生 | 1,800 |
くるまえび/養殖/ゆで | 1,800 |
ほっけ/開き干し/焼き | 1,800 |
うし/ビーフジャーキー | 4,400 |
うし/和牛/もも/皮下脂肪なし/焼き | 2,300 |
うし/ローストビーフ | 1,800 |
ぶた/ヒレ/赤肉/焼き | 3,200 |
ぶた/生ハム/長期熟成 | 2,100 |
にわとり/むね/皮なし/焼き | 3,100 |
にわとり/ささみ/ソテー | 3,000 |
にわとり/ささみ/ゆで | 2,500 |
にわとり/もも/皮付/唐揚げ | 1,800 |
鶏卵/全卵/目玉焼き | 1,300 |
鶏卵/全卵/煎り | 1,200 |
鶏卵/全卵/ゆで | 1,100 |
鶏卵/全卵/生 | 1,000 |
鶏卵/卵黄/ゆで | 1,400 |
鶏卵/卵黄/生 | 1,400 |
鶏卵/卵白/ゆで | 960 |
鶏卵/卵白/生 | 880 |
糸引き納豆 | 1,300 |
落花生/大粒/煎り | 1,800 |
アーモンド/煎り/無塩 | 1,500 |
えだまめ/ゆで | 870 |
チェダーチーズ | 2,500 |
プロセスチーズ | 2,300 |
カマンベールチーズ | 1,800 |
クリームチーズ | 810 |
まとめ
ボディメイクを目的とした筋トレを実践する者にとって、筋肉の合成を促し分解を抑制する栄養素はとても大切です。
せっかく時間と労力を割いてトレーニングするなら、効率よく筋肥大をさせたいですよね。
筋肥大=筋トレ × 食事(栄養) × 睡眠
筋肥大に有効な栄養素を知り、効率よく摂取して一緒に理想の体を目指しましょう!